公開日 2015年02月18日
更新日 2024年11月15日
生活保護とは
私たちは、生活しているうちに病気やケガなどにより働けなくなったり、働き手が死亡したりして生活に困ることがあります。
生活保護は、このように生活に困っている方に対して、国民の生存権の保障を規定した憲法第25条の理念に基づき、最低限度の生活を保障するとともに、自分で自分のくらしを支えられるよう支援することを目的とした制度です。この制度は、生活保護法(以下、「法」という)に基づいて行われます。
保護の内容
保護には、次の8種類の扶助があります。
生活扶助:毎日の生活に必要な食費や光熱水費などの費用です。
住宅扶助:家賃、地代または住宅の修理費などの費用です。
教育扶助:義務教育にともなって必要な学用品代、給食費などの費用です。
介護扶助:介護サービスが必要な場合の費用です。
医療扶助:病気やケガなどをした場合の医療に必要な費用です。
出産扶助:出産に要する費用です。
生業扶助:技術を身につけるための費用や就職準備などの費用です。
葬祭扶助:葬儀などに要する費用です。
*支給方法は、金銭で支給される場合と、介護費・医療費のように福祉事務所が代わって支払いをする場合があります。また、この他に一時的に必要なものとして、被服費や転居資金などが支給される場合もあります。それぞれ条件がありますので、事前に福祉事務所に相談してください。
保護の決め方
保護は、原則として世帯(くらしをともにしている家族)を単位として、その世帯の国の基準による最低生活費の額と世帯全員の収入額を比較し、収入額の方が少ない場合にその不足額が保護費として支給されるしくみになっています。
・最低生活費:その世帯のくらしの実態(年齢、人数、健康状態、住んでいる地域など)をもとに国で決めた基準により計算された1か月分の生活費で、月によって変わる場合があります。
・収 入:働いて得た収入、年金・手当など他の法律等により支給される金銭、親や兄弟姉妹などからの仕送り援助、資産を貸したり売ったりして得た収入等、世帯全員の収入を合計したものです。
生活保護が決定されるまで
◆生活保護の申請
生活保護を受けるには、本人や家族等の申請が必要です。
申請するときは、申請書に必要事項を記入し、福祉事務所に提出してください。
病気などで申請の手続きに来られないときは、福祉事務所に連絡してください。
生活保護を受けるには、次のような条件があります。活用できるものがあるか、よく考えてください。
1.《資産の活用》
預金、生命保険、土地、家屋、自動車、貴金属などの資産は、まず生活のために活用していただくことになっています。
ただし、現在お住まいの住宅や、障がいのために必要な自動車などは、一定の条件のもとに福祉事務所長からその保有を認められる場合もありますのでご相談ください。
2.《能力の活用》
世帯員のうち、働く能力のある方は、その能力を活用していただきます。
3.《扶養義務者の援助》
扶養義務者(親、子ども、兄弟姉妹等)から援助を受けられるときは、それを優先します。
4.《他の制度の活用》
生活保護以外の制度(社会保険、雇用保険、各種年金、恩給、手当等)で活用できるものは、それを優先します。
◆調 査
申請すると福祉事務所の担当員(ケースワーカー)が家庭訪問などの方法により保護が必要かどうかの調査をします。
調査の内容には、次のようなものがあります。
・現在の生活状況、世帯員の健康状況、扶養義務者の状況、収入、資産
・今までの生活状況、その他保護の決定に必要な事項
◆決 定
調査結果をもとに、定められた基準により保護が必要かどうか、また、必要ならどの程度のものか、
福祉事務所長が判断し、申請日から14日以内(遅くとも30日以内)に決定し、
その内容を文書で申請者に通知します。
*申請してから決定するまでの間に、次のようなことがあれば、すぐに福祉事務所に連絡してください。
また、困ったことや分からないことがあれば、福祉事務所に相談してください。
1.収入が増えたり減ったりしたとき(働いて得た収入、年金、仕送り等全ての収入)
2.家族の人数が変わったとき(出産、死亡、転入、転出等)
3.通院したり、入院したりするとき
4.その他、生活の状況が変わったとき
*決定に不服のある場合は、決定を知った日の翌日から3か月以内に知事に対して審査請求を行うことができます。(法第64条)
保護が開始された場合
◆保護費の支給
原則として、毎月決められた日(原則5日)に、1か月分の保護費が金銭で支給されますが、介護費や医療費については、福祉事務所が直接、介護機関や医療機関に支払います。
なお、受診の際は、福祉事務所から受け取った必要書類を介護機関や医療機関に提出してください。(今まで国民健康保険証を利用していた方は、使用できなくなりますので、市町村の国民健康保険窓口に返却していただきます)
◆守っていただくこと
1.届け出の義務(法第61条)
あなたの申し出をもとにして保護の程度を決めますので、収入、支出、その他生活状況に変動があったとき、住まいや家族構成について変わったことがあったときなどは、すぐに福祉事務所に届け出ていただきます。
2.指導・指示に従う義務(法第62条)
あなたの生活状況に応じて、適切な保護をするために、指導・指示をすることがあります。指導・指示に従わないときは、保護が受けられなくなる場合があります。
3.生活向上の義務(法第60条)
働ける人は能力に応じて働き、計画的なくらしをするなど、生活の維持、向上に努力しなければなりません。
4.譲渡禁止(法第59条)
保護を受ける権利を他人に譲り渡すことはできません。
◆保護費を返していただくことがあります
1.急迫した事情などのため、資力があるにもかかわらず保護を受けた場合には、その受けた金品に相当する金額の範囲内の額を返還しなければならないこととされています。(法第63条)
2.事実と違う申請や不正な手段により保護費を受け取ったときは、返していただきます。また、その金品を徴収されるだけでなく、法律により罰せられることがあります。(法第78条、法第85条)
◆家庭訪問をします
生活保護が開始になった場合は、生活保護を適正に実施するため、福祉事務所の担当員が定期的に訪問し、相談に応じるとともに、保護費を生活の変化に応じて適正に決定するため、収入や生活状況などをお聞きします。