公開日 2015年02月16日
更新日 2015年02月20日
太田玉茗賞
ぼくのふるさと
手子林小学校六年 永野 太久
まだうす暗く静かな町を走って
ぼくは土手に向かった
なんとなくだが土手には
ふるさとを感じたことのないぼくに
教えてくれることがありそうに思った
うっそうとしげる土手の草木をかきわけて
上へ上へぼくの足は進んだ
すると体のあちらこちらが
しっとりぬれていることにきづいた
ふと見ると緑色の若葉に水てきがつき
顔を出したばかりの太陽の光を受けて
宝石のように輝いている
本当にうつくしいと思った
気がつくと
辺りはだんだん明るくなってきた
すると 町一面がバター色に包まれていった
こんなきれいな景色がぼくのふるさとには
あった
少しずつふるさとと感じられることを
見つけていくことができた
少し体の向きをかえると
青々しい田園の中に浮かぶ
屋敷林の姿が目に飛びこんできた
羽生にも埼玉にも海はないが
田園の青が広々とした海に見え
その中に点在する屋敷林は島に見えた
このふるさとの風景はまるで松島のように
思った
この日の朝 土手に出かけたことで
ふるさとを心の底から感じることができた
緑と光を伝えてくれる手紙のように